↑シューティンググリップ『GP-VPT2BT』
↑シューティンググリップ付きのVLOGCAM『ZV-1G』
↑シューティンググリップは三脚にもなる
現在のVlogは、スマホやミラーレス一眼カメラ、コンデジ等を使って撮影している人が多くなっています。SONYはそうしたユーザーから、Vlog撮影時の不満点をヒアリングしたところ、例えば「今日紹介するガジェットはこちら!」といったシーンで、紹介する製品をカメラのレンズ前にサッと持ち上げると、製品にピントが瞬時に合わないといったAFミスの問題、撮影された人物の顔や料理がくすんだ色になってしまう問題、移動撮影時の映像のブレ、屋外撮影時の風切音といった部分に不満の声が多かったとの事。
また、カメラ機材の場合、各種設定をしようとした際に、例えば「F値」や「露出」等「ユーザーがカメラ知識を持っている事」をベースにメニューやUIが設計されている為、カメラに詳しくないユーザーがVlogに挑戦しようとした場合、使い方が分からないといった不満もあったとの事です。
一方で、映像美にこだわり、シネマチックな動画を撮影に挑戦したり、機材については詳しく無いが、そうした映像を撮りたいと憧れているユーザーも多くなっているとの事です。
そこで『ZV-1』は、「かんたん操作・動画AF性能」、「小型・軽量ボディ」、「高画質」、「高音質」、「手ブレ補正」という5つの基準を1台で満たすモデルとして開発したとの事。
↑使用イメージ
外観的には
RX100シリーズとよく似ていますが、ボディサイズは完全に同じでは無いとの事。但し、カメラとしての性能は「RX100 VII」や「RX100 V」と共通する部分も多いとの事。
大きな違いとして、背面のモニターがバリアングルになっています。電子ビューファインダーやフラッシュは非搭載ですが、マルチインターフェースシューを搭載。マニュアルコントロールリング、NFC機能は非搭載となっています。
撮像素子は1型で、有効画素数は約2010万画素。これは「RX100 VII」や「RX100 V」と同じです。
レンズの焦点距離は35mm判換算で24~70mm、F値は1.8~2.8。光学式手ブレ補正機能も搭載。一方で、詳細は後述しますが、動画の撮影能力を更に高めています。
外観的な大きな違いはモニター部分で、RX100 VII/RX100 Vは上に約180度、下に90度チルトするモニターですが、『ZV-1』はバリアングルで自由度が高く、水平方向に176度、回転方向に270度稼働。自撮りも手軽にします。
↑バリアングルで自由度が高く、水平方向に176度、回転方向に270度稼働
Vlog用の特徴的な機能として、背面にある「C2」ボタン(商品レビュー用設定)を押すと、顔・瞳検出がオフになります。これにより、製品レビューをする際に、顔の前に持ち上げた製品にピントが合わず、出演者の顔にピントが合ってしまうミスを回避。
従来はピントが合わない場合、手で出演者の顔を隠したりする必要が有りましたが、そうした行為をしなくても素早く製品にピントが合います。
↑「C2」ボタンは商品レビュー用設定に割り当て
顔・瞳検出をOFFにして、AFが顔に奪われない様にするという設定は、カメラの知識を持っている人は可能ですが、それが無い人でも「C2ボタン」を押すだけで、製品レビュー用動画に最適な設定にできるところがポイントとなっています。
↑商品レビュー用設定の利用イメージ
↑商品レビュー用設定画面
背景のボケ具合の設定も、わかりやすさを重視。F値を操作しなくても、背後にある山と人物のボタンを押すと、絞り開放1.8のボケ味がよく出る設定と、F5.6の背後までピンとが合ったクリアな設定の2つが切り替わります。この切替は、シューティンググリップ『GP-VPT2BT』からも行なえます。
↑背景ぼけ切り替えは「C1」ボタンに割り当て
↑背景ぼけ切り替え設定画面
AF機能は、ファストハイブリッドAFシステムを搭載。高速で正確な像面位相差AFで、自撮り時に素早くフォーカスを顔から背景に移す事が可能。また、AF駆動速度をコントロール可能(初期設定:高速)、AF被写体追従感度も変えられます。
動画撮影中のリアルタイム瞳AFも搭載。更に、人物や物体を認識して、自動で被写体として追いかけるリアルタイムトラッキング機能も搭載します。
人種・年齢・性別問わず、人間の自然な肌色を表現できるという「ナチュラルスキントーン」機能も搭載。新たに、「顔優先AEモード」も利用可能。これは顔を検出し、最適な露出で顔を際立たせてくれるモードとなります。
歩行しながらの自撮り時、明るい場所から暗所に入るタイミングで顔を検出し、自動で露出調整をしてくれます。対象が急にフレームから外れて顔検出できなくなっても、瞬時に露出を変化させる事で安定した明るさを保つとしています。
αシリーズでは静止画時でしか利用出来ませんが、動画撮影時でも、美肌効果を発揮。目元口元のしわ・シミなどを低減してくれるとの事。効果は切/低/中/高から設定可能となっています。
ウインドノイズ低減機構も搭載。3カプセルのマイクを搭載し、その上に風低減スクリーンを設置。
マイクグリルでカバーし、ウインドスクリーンも標準で付属します。指向性の3カプセルマイクは、前方の音をしっかり補足します。
↑マイクグリル部
↑指向性3カプセルマイクを内蔵
更に、3.5mmの外部マイク入力端子も搭載しています。
↑付属のウインドスクリーンはマルチインターフェースシューに取り付ける
縦位置動画の撮影も可能。本体を縦向きにして撮影するだけで、縦位置撮影の情報も含めた縦位置動画が撮影可能。
動画撮影時の手ブレ補正機能も進化。アクティブモードに設定すると、光学式と電子式を組み合わせたハイブリッド式手ブレ補正が利用出来ますが、アルゴリズムを進化させています。4K解像度での補正能力は同等ですが、フルHDでは補正能力がRX100 VIIから大幅に向上したとしています。
外形寸法は、RX100 VIIが101.6×42.8×58.1(幅×奥行き×高さ)mmですが、『ZV-1』は105.4×44×60(同)mmとわずかに大きくなっています。一方で、バッテリーとメモリーカードを含めた重量はRX100 VIIの302gに対し、『ZV-1』は294gと軽量になっています。
録画ランプは前面に配置。自撮りしている際に、ちゃんと録画ができているか確認可能。更に、自撮り時の安定感を高めるグリップを採用。左手人差し指がフィットするRECボタンを採用しています。
↑自撮り時の安定感を高めるグリップを採用
動画撮影時の1撮影29分制限は有りません。解像度は最大4K/30P対応で、4K/24Pにも対応。フルHDは120P迄の撮影が可能。ハイフレームレート撮影は、960fps、480fps、240fpsが選択でき、これはRX100 VIIの960fps、240fps、120fpsから進化しています。
撮影中の映像をライブ配信する機能も搭載。『ZV-1』をPCにUSB接続し、Webカメラとして使うもので、『ZV-1』の明るいレンズ、被写体深度の浅いぼけ感のある映像、顔優先AE(露出)、高いAF性能、光学ズームなどを活用しながらライブ映像配信が出来るとしています。尚、対応のPCソフトウェアは、2020年7月頃に公開予定との事です。
当ブログでもご紹介したネットでの噂段階では「サイバーショット」の新カテゴリーとしていましたが、それはガセだったみたいですね。型番の『DS-ZV1』というのも全くのガセでした。
しかもティザーサイトのシルエットが妙に横長なのと、丸い突起物が謎でしたが、蓋を開けてみれば何て事は無く、横長なのは液晶画面を側面に開いた状態だっただけですし、突起物はウインドスクリーンのシルエットでした…。
Vlog向けという事であれば、既存のスチルカメラの延長のデザインである必要は無いと思うんですけどね…。液晶画面が180°近く側面に開いたとしても、自撮りを行う際、液晶を見てしまうと当然目線がレンズに合わないですし…。新しい用途向けという事であれば、スチルカメラにもムービーカメラにも無い様なボディの形状をしていても良かったと思います。
まぁ、ボディの設計がRX100を基礎としているっぽいのでその影響だとは思いますが。
ところで、時代は変わりましたね…。撮影の醍醐味ってカメラの基礎知識を知り、操作を覚えて良い画を撮る事だと思うんですが、良い画は撮りたいけど専門用語が分からないから設定が出来ないとか…。
今どき、ちょっとググれば死ぬほど情報が出て来るのに、そんな事も覚えないで良い画は撮りたいとか、どんだけだよ、と思ってしまいます…。映画業界に身を置く者としては、そうしたちょっとした努力もしないで撮ったものは、どんなにカメラの性能が良くても薄っぺらな画しか撮れないと思いますが…。
■プレスリリース
見せたいものや伝えたいことをかんたん操作で映える動画に
Vlog撮影向け『VLOGCAM#59186; ZV-1』発売
https://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/202005/20-0527/