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3.5インチマイクロフロッピーディスク(SONY驚異の技術力!!) [記録メディア]

あまり知られていませんが、フロッピーディスクで一番普及した3.5インチフロッピーディスク(通称マイクロフロッピーディスク)は実はSONYによって開発されたものでした。

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SONYにおけるフロッピーの開発は、米国市場における英文ワープロの1コンポーネントとして始まりました。

当時、フロッピーは1976年にアラン・シュガート社が開発した5.25インチディスクからIBMの8インチディスクに置き替わろうとしていた頃でしたが、両社とも薄い樹脂製のジェケットに磁気シートを収めたものが主流でした。

しかし、「もっと小型で扱いやすく、容量の大きいメディアを作ろう。ついては、磁気シートに直接手を触れずに済み、防塵効果も高いプラスチックケースに入れよう」「大きさは3インチくらいだ」と考えた開発スタッフ達は、早速開発に取り掛かります。

実際、開発に取り掛かってみると、プラスチックのケースではどうしても厚みが出てしまいました。そこで、とりあえずは読み取り部のシャッターやゴミ取り装置の事は忘れてプラスチック成形技術ギリギリの薄さを追求し、3mm程度の厚さのものが出来ました。

ところが、次々に問題が起こります。

まず、ケースが薄くなったのは良いのですが、薄すぎるケースは経年劣化によって歪み、曲がってしまい、ドライブに挿入できなくなってしまいます。
また、シャッター自動開閉用のバネが入らない為、手動で開閉するシャッターで間に合わせなくてはなりませんでした。
更に、容量の大きいメディアを作るという当初の目的から、データを書き込むトラック数を従来の他社製品の倍にまで増やせましたが、直径8.3mmの中に70本以上も幅の狭い円形トラックを詰め込んだ為、データの読み書き時に高速回転するメディアを正確に追いかけるのが困難であるという問題が発生します。

開発者たちは、それを一つずつしらみ潰しにして、問題を解決しました。

ケースの歪みに関しては、最初からケースを凸状に歪ませておき、ドライブ挿入時に押さえつけて平らにする事で解決。シャッター自動開閉用のバネは洗濯バサミ状のバネを開発する事で解決。高速回転するメディアをトラッキングする為、磁気シートの中央部に円形の金属ハブを装着し、ハブに空けた穴にドライブの軸を固定する事で、トラッキングを行ないやすくする工夫をして解決しました。

こうして出来上がった3.5インチマイクロフロッピーディスクは厚さ3.4mm、容量1MBという当時としては画期的なリムーブバルメディアでした。

1980年12月、SONYはこの3.5インチフロッピーディスクドライブが組み込まれた英文ワープロシステム、"シリーズ35"、タイプコーダーなどをアメリカ市場に投入する事を発表。翌1981年アメリカで、更に1983年1月にシリーズ35が発売されます。

更にSONYは、「ワープロを売る為には、3.5インチフロッピーというメディアを普及させなければ生き残らなくてはならない。他社のコンピューターにも3.5インチフロッピードライブを搭載してもらおう」と考えます。SONY社内には『SONY』の4文字がつかないOEM供給に反対する人達が少なく無かったと言われていますが、外販を開始。メカトロニクス事業部という新事業部を立ち上げ、いっそう外販に力を入れます。

そんな折、思いがけない申し出がありました。シリコンバレーの巨人、ヒューレット・パッカード(HP)社が「我々のコンピューターを3.5インチフロッピーでやりたい」と言って来たのです。

HP社との提携を機に、数多くの指導を受け、3.5インチフロッピーはコンピューターメーカーの使用に耐えられる仕様へと成長していきました。

ところが、SONYに続けと言わんばかりに他メーカー(もしくは他メーカー連合)から3インチ規格、3.25インチ規格、4インチ規格などのフロッピーディスクが開発され、発売されました。が、最終的にSONYが開発した3.5インチ規格が規格競争に勝ち残り、1984年夏、ISOに認定されこととなりました。

その後、IBMのPSシリーズコンピューターや、アップルコンピューター(現アップル)社にも採用され、リムーブバルドライブのデファクトスタンダードとなりました。

2000年頃から、PCの飛躍的スペックアップに伴いデータ容量も増加した為、フロッピーでは容量が足りず、段々とフラッシュメモリーや外付けHDDに役割をシフトし、今となってはあまり見かけるメディアでは無くなってしまいましたが、リムーブバルメディアの一時代を築き上げた実績は評価に値すると思います。




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