SONY、業務用56型4k液晶モニター発売

少し前の話ですが、SONYは業務用56型4k液晶モニター"SRM-L560"の発売を発表しました。



発売日は2009年11月1日、価格は税込み6,825,000円となっています。

パネルは解像度3840×2160pixの10bitパネルを採用。4kモード（デジタルシネマ規格の4096×2160pixの場合は縮小した上で左右に黒を入れて表示）、Quad Viewモードと言われるHD4系統の画を、画面4分割で表示するモード、2k/HD ZOOMモードと言われるHD映像を4倍に拡大して表示するモードの3つのモードが搭載されています。


↑各表示モードのイメージ図

バックライトは業務用液晶マスモニ"BVM-L230/231/170"と同様の高純度LEDを採用し、ITU-R BT.709以上の色域をカバーしていますが、デジタルシネマ、所謂『DCI』のカラースペースを完全に包括しているわけでは無いそうです。


↑各規格とSRM-L560の色域比較

また、液晶はPDPと異なり、バックライトが常に点灯している為、シャドウマスクから漏れる光源のせいで黒が浮いてしまうというデメリットが有るのですが、それに対応する為に『ブラックディテールモード』というモードが搭載されています。

このモードを使用すると、バックライトの光量を60％カットする事により、低諧調の画を確認する事が出来るそうです。尚、このモードを使用すると、IRE75%以上の部分はクリップされますが、クリップされた場所にゼブラパターンを表示する事が可能とのことでした。


↑ブラックディテールモードの概念図

入力端子に関しては、業務用としては異例で、デフォルトではDVI-DとHDMI（いずれもHDCP対応）しか付いておらず、8つあるオプションスロットにオプションボードを挿すことで、3G-SDIやHD-SDI、デュアルリンクHD-SDIに対応するという設計です。

アストロデザインから発売されている4k液晶もそうなんですが、何で解像度が3840×2160pixなんでしょうか？少なくともデジタルシネマ用途を謳うなら、DCIスペックに準拠すべきだと思います。

DCIスペックでは、4kは4096×2160pixです。また、映画などのフィルム撮影を静止画連番ファイルにデータ変換（フィルムスキャニング）する際の35mmの最大ネガ領域の4k解像度は4096×3112pixとなっています。

まあ、フィルムスキャニングの場合は左右解像度が4096pixを使用するのは殆どがシネマスコープに限られ、最終上映画郭は天地が切られて、4096×1744pixになるので、天地の解像度に関しては足りてるんですが・・・。

しかしながら、ポストプロダクションに取っては左右解像度4096pixのデータはドットバイドットで画をチェックする必要が有るので、左右3840pixしか無いのは正直辛いです。

しかも色域もDCIカラースペースを100％包括していないとなると、いっそう、デジタルシネマ用途としては使えないですね。

ちょっと残念な製品でした。

↓ハードウェア仕様
型番：SRM-L560
外形寸法：1352.3×824.3×343.3mm （幅×高さ×奥行）
重量：約73kg
【表示性能】
LCDパネル：a-Si TFTアクティブマトリクス方式
画像サイズ：56型
表示エリア：約1244.16×699.84mm
解像度：3840×2160pix
有効画素数：約828万画素（99.99％）
バックライト：高純度LED
パネルドライバー：RGB 各色10bit
パネル表示フレームレート：48/ 50/ 60Hz
【入出力】
・オプションスロット×8
・DVI-D（HDCP対応）×4
・HDMI（HDCP対応）×4
・コントロール
　LAN：RJ-45（10BASE-T/100BASE-TX）×1
　OPTION A：ミニDIN 8ピン（凹）×1（将来の拡張用）
　OPTION B：USB（タイプA ）×1（将来の拡張用）
　OPTION C：D-sub 9ピン×4（将来の拡張用）
【画像系】
色温度：D56、D61、D65、D93、D-Cine1)（他の色温度にも設定可）
カラースペース：ITU-R BT.709、BVM EBU、BVM SMPTE-C、D-Cine、L560Native、S-GAMUT