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SONY、車載LiDAR向けSPADセンサー『IMX459』商品化 [テクノロジー]

ソニーセミコンダクタソリューションズは、車載LiDAR(Light Detection and Rangin/ライダー)向けの積層型直接ToF(dToF:Direct Time of Flight)方式のSPAD(Single Photon Avalanche Diode)距離センサー『IMX459』を商品化したと発表しました。

IMX459.jpg

10μm角の微細なSPAD画素と測距処理回路を1チップ化し、1/2.9型と小型ながら高精度かつ高速な測距を実現。

また、車載LiDAR向けのSPAD画素を用いた積層型距離センサーを商品化したのは「業界初」としています。2022年3月にサンプル出荷開始予定。サンプル価格は1万5000円となっています。

SPAD画素は、LiDARの測距方式の内、光源から対象物に反射して戻って来までの光の飛行時間(時間差)を検出する事で距離を測定するdToF方式の受光素子の一つとして用いられています。

『IMX459』では、SONYがCMOSイメージセンサー開発で培ってきた裏面照射型、積層型、チップ電極であるCu(銅)パッド同士を接続するCu-Cu(カッパー・カッパー)接続などの技術を活用する事により、SPAD画素と測距処理回路を1チップ化する独自のデバイス構造を採用。

これにより、10μm角の微細な画素サイズを実現し、1/2.9型で有効約10万画素となる小型・高解像度に加え、光子検出の高効率化と応答性能の向上を図り、遠距離から近距離までを15cm間隔で高精度かつ高速に測距が可能となっとしています。

裏面照射型のSPAD画素を用いた上部の画素チップと、測距処理回路などを搭載した下部のロジックチップは、Cu-Cu接続を用いて積層されており、1画素ごとに導通しています。画素部の下側に回路部を配置する事で、10μm角の微細な画素サイズながら、画素当たりに光入射面側からみた開口部分の割合である開口率を維持。また、光の入射面に凹凸を設けて入射光を回折させることで吸収率も高めています。

これらの工夫により、車載LiDARのレーザー光源として広く普及している905nmの波長に対して24%という高い光子検出効率を実現しています。これにより、例えば、遠方にある反射率の低い対象物でも、高い解像度と距離分解能で検知する事ができます。また、画素ごとにCu-Cu接続した回路部にアクティブリチャージ回路を搭載して、一光子当たりの応答速度を通常時約6nsに高めています。

また、車載向けで求められる信頼性や機能安全規格への準拠などにも対応します。自動車向け電子部品の信頼性試験基準であるAEC-Q100では、動作温度範囲が-40~105℃のGrade2を取得予定。更に、自動車向け機能安全規格のISO 26262では、ISO 26262に準拠した開発プロセスを導入するとともに、安全要求レベルであるASILでASIL-B(D)に対応するとしています。

『IMX459』の主な仕様は↓。

有効画素数は597×168の約10万画素で、イメージサイズは対角6.25mmの1/2.9型。推奨光源波長は905nm、SPADユニットセルサイズは10.08×10.08μm、ToF画素単位となるエレメントサイズは3×3。光子検出効率は24%、応答速度は約6ns。電源電圧は、SPAD降伏電圧が-20.5V、同過剰電圧が3.3V、アナログが3.3V、デジタルが1.1V、インタフェースが1.8V。インタフェースはMIPI CS-2のシリアル出力(4レーン/2レーン)。パッケージサイズは15.65×15.35mm。最大検知距離は300mとなっており、300m測距時の距離精度は3画素×3画素の加算モードで30cm、6画素×6画素の加算モードで15cm。

また、ソニーセミコンダクタソリューションズは、『IMX459』を搭載した、ポリゴンミラーを用いるメカニカルスキャン方式のLiDARをリファレンスデザインとして開発し、顧客やパートナーに向けて提供を開始。これにより、顧客やパートナーのLiDAR開発における工数削減や選定デバイスの最適化によるコスト削減に貢献できるとしています。

最近のSONYはイメージセンサーだけでなく、測距センサー等の開発もかなり進んでいますね。長らくのイメージセンサー開発が昇華しているというのは素晴らしい限りです。

■プレスリリース(ソニーセミコンダクタソリューションズグループ)
https://www.sony-semicon.co.jp/news/2021/2021090601.html




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